烙印の紋章II 陰謀の都を竜は駆ける - 杉原智則
あらすじ
初陣で勝利を飾り帝都へ凱旋したオルバ。都では皇帝の専横が目立ちはじめていた。反皇帝派の不穏な噂を耳にしたオルバは、真相を探るため建国祭の大剣闘大会に出場することになる。ガーベラからの使者ノウェ、ビリーナに敵意を燃やす皇太子の義妹イネーリ、オルバを操ろうとするフェドムなど、帝都は様々な思惑の坩堝と化す。 そんな中、オルバは皇太子と剣闘士、二つの役割の間で揺れ動く。一方、ビリーナはオルバへの複雑な想いと、異国の姫という立場の間で思い悩む。はたして二人の関係と帝都を舞台にした政争の行方は──!?
感想
主人公ら登場人物の内面に焦点が当てられた第二巻。オルバは、メフィウスに復讐心を燃やす剣闘士オルバとメフィウスの王子としての振る舞いのギャップに悩むようになる。また、ビリーナとイネーリのオルバへの気持ちの変化と、それぞれへの思惑などが動き始める。
やや話の展開には欠けるが、今後の展開における登場人物の心理描写を固めるという意味で重要な巻になっている。
プロット(ネタバレ)
- 戦場から戻ったオルバは仮病を使い、自室にこもりがちになる
- その一方で、国内では反皇帝派の動きや、皇帝の専横などが目立つようになる
- オルバはその中で、敵であるオーバリー将軍とガーベラからの使者・ノウェの不穏な動きを察知する
- 豪腕で知られる剣闘士パーシルが関わっていることを知る
- 剣闘士として剣闘大会に出場することで、陰謀を探り始めるオルバ
- 自らの復讐心を明かすことでパーシルの信頼を得る
- 陰謀の計画を聞かされ、陰謀に参加することになる
- 剣闘大会でパーシルを破り優勝したオルバは、皇帝と貴族たちの前で表彰されることとなる
- 剣奴隷を利用しクーデターを起こそうとした反皇帝派筆頭のザット・クォークの企みを防ぐ
- ザットが死ぬことで、クーデターとオーバリーとノウェの繋がりが絶たれる
- オルバはクーデターを防いだ報奨としてパーシルら剣奴隷を自らの配下に加える
- 諸城塞国家の中のひとつ、アークス・バズガンが西方のアプター砦を襲撃する情報がもたらされその守護命じられるオルバ